出典:新日本プロレスワールド

L・I・J レビュー

平成最後の問題作!札幌の内藤vsタイチ戦が受け入れられなかった人たちに捧ぐ。[2.3札幌]

投稿日:2019-02-05 更新日:

 

ザ・ニュービギニング2.3札幌、IWGPインターコンチネンタル王座戦の内藤vsタイチ戦。

賛否を巻き起こしたこの試合、自分としては‥楽しめませんでした‥。

ロスインゴ推しなので内藤選手は当然好きだし、タイチ選手も好きです。

新日本プロレス屈指のパフォーマーの二人だと思っています。

しかし、リングの上の試合自体は面白かったのですが、どうしても演出部分が受け入れられず、ロスインゴが3連勝したのに素直に喜べませんでした‥。

毒霧、ダークネスワールド、怨念坊主のような過剰とも言えるファンタジーが素直に楽しめているのに、なぜ札幌の演出は楽しめなかったのか‥。

多分、医務室から戻ってきた内藤選手がフェイスペインティングしていて、グレートナイトウとして戻ってきていたら、この試合をベストバウトと認定していたと思います‥。

なぜグレートナイトウが受け入れられるのに、札幌の試合を受け入れられないのか。

試合後のSNSを見ると、意外とこの試合をすんなり受け入れることができているファンも多いみたいで、驚きました‥。

会場でも内藤コールが起きていたし、ちびっこが絶叫して応援している姿も垣間見えました‥。

どうして自分は楽しめなかったのか‥。

試合の感想は書きませんが、札幌の内藤vsタイチ戦の何が受け入れられなかったのか、この試合を整理することで自分と同じようにこの試合を受け入れられなかった方々のヒントになれば幸いです。

 

 

平成最後の札幌テロ事件のあらまし。

上の動画を見れば、内容は大体分かりますが、ざっくり言うと、まず内藤選手が入場中に後ろから乱入した飯塚選手にラダーで殴られ、内藤選手が失神状態になりピクリとも動かなくなりました。

その後止めに入ったヤングライオンを飯塚選手が蹴ちらすと、今度は花道でタイチ選手が内藤選手にブラックメフィストを決めてしまいます。

駆けつけた三澤トレーナーが一旦医務室に内藤選手を運び、ドクターチェックのアナウンス。

内藤選手がいなくなったリング上で、タイチ選手がファンを煽るマイクや真壁選手と一触即発の雰囲気を出し、場をつなぎます。

手でバツ印を作りながら戻ってきた三澤トレーナーと菅林会長と海野レフリーが無効試合を協議しているところ、医務室からよろよろ戻ってきた内藤選手が三澤トレーナーと菅林会長の手を振り払い試合開始のゴングを要請。

そのまま試合開始となり、だんだん体調が回復していった内藤選手がタイチ選手に大逆転勝利する‥という流れですね。

 

 

事故続きの新日本でトレーナーを利用したストーリー。

まず一時期ピクリとも動かなかった内藤選手が会長とトレーナーの判断を無視して試合を始めた結果、大逆転勝利というストーリーが受け入れられませんでした。

内藤選手がピクリとも動かなかったわけですから、設定としては脳震盪なんだと思います。

しかし、新日本で脳震盪を起こした選手が復活して大逆転勝利するのは無理があります、脳震盪を起こした飯伏選手を先月の東京ドームで見ているわけですから。

少なくとも、内藤選手が血だるまにされて医務室で止血の応急手当を受けて戻ってきたなら、体力は問題ないので逆転勝利も受け入れることができたと思います。

関係ないですけど、仮にブラックメフィストで肩を怪我したのなら、せめてテーピングして戻って来てほしいですね‥。

出典:新日本プロレスワールド

こういう怪我して復活みたいな演出は昭和の時代からありました。

言ってみれば昔からのレトロなプロレスの定番の手法なんだと思います。

ただ、現代ではプロレスも進化していますし、ファンの目も肥えてきています。

また、時代や考え方がこの10年でけっこう変わりました。

一昔前なら脳震盪だろうと骨折だろうが根性で復活!って言うストーリーは美談になったかもしれませんが、事故続きの新日本でトレーナーがダメだと判断した選手が活躍するというストーリーは不謹慎だし美談にしていい話ではないと感じました。

特に我々の頭の中には東京ドームで動かなくなった飯伏選手の記憶が鮮明にあるのに、それをこのタイミングで逆手にとるような演出は楽しめませんでした。

 

 

冬の札幌テロ事件のオマージュは成功したのか?

「何かが起こる」って煽ったプロモーションと、入場時の選手を襲ったという意味から、1984年の札幌テロ事件をオマージュしたのは間違いないと思います。

同じ2月3日だったので重ね合わせた演出をしたかったのかもしれません。

藤原喜明選手が起こしたこのテロ事件はワールドで見られるので、ぜひ見てほしいですが、ものすごく緊迫した雰囲気で物々しい危険なプロレスになっていると思います。

新春黄金シリーズ 1984年2月3日 札幌中島体育センター 藤波辰巳 vs 長州力

 

演出の是非はありますが、何かが起こった緊迫感に満ちています。

しかし今回の札幌の試合はどうでしょうか、筆者には全く緊迫感が伝わってきませんでした。

内藤選手を襲った飯塚選手はラダーで一発お見舞いしただけで、止めてくれるヤングライオンを待つかのように立ち往生していましたし、内藤選手が医務室にいる間はタイチ選手が一人で場を繋いでいる状況です。

この辺りのパフォーマンスはタイチ選手の真骨頂かもしれませんが、時間が長すぎるし、ちょっと間延びしてしまいました。

とにかく何も動かない時間が多く、会長もトレーナーものんびり協議しているように見えました。

全体的に段取りも悪くゆっくりと時間が流れ、セミまで続いた好試合の流れをぶった切ってしまいました。

もし、札幌テロ事件のオマージュをしたいのであれば、セコンドにお互いのメンバーをつけて絡ませるか(対抗戦だったために不可能ですが)、医務室に運ばずにそのまますぐ試合をするか、緊迫感を大事に演出をする必要があったように思います。

 

WWE的な演出を目指していたのか?

もしWWE的な演出を目指そうとしていたとするなら、クオリティが低いと言わざるをえません。

極悪ヒールを演じたタイチ選手やスーパーベビーフェイスを演じた内藤選手は新日本屈指のパフォーマーですのでいいですが、菅林会長と三澤トレーナーは素人すぎます。

調印式でおなじみの菅林会長を、こういう演出の時だけ都合よく出演させても、豊かなパフォーマンスができるわけではないので、ちょっとかわいそうです。

出典:新日本プロレスワールド

三澤トレーナーも内藤選手に医務室に戻れというジェスチャーをしていましたが、切迫感は感じられませんでした。

しかし会長とトレーナーが悪いわけではありません、パフォーマンスするトレーニングを受けていない素人に、ストーリーの重要な役回りをさせたことが問題だと思います。

これがビンス・マクマホンたちならエンターテイメントとしてうまくやってのけるでしょうが、新日本プロレスが無理して柄にもないことをやっても痛々しいだけになってしまいます。

パフォーマンスに優れたレスラーたちだけなら、リアルテイストの演出やゴリゴリのファンタジーもある程度受け入れられたかもしれませんが、素人同然のスタッフのパフォーマンスは見ていてちょっと辛いです。

今のプロレスファンはWWEも新日本も同時に見ている人もいるでしょうから、こんな一夜漬けのような演出は見透かされてしまうんじゃないでしょうか。

 

 

ノンフィクションの空気を纏う内藤。

もしこの試合が内藤選手ではなく、棚橋選手やオカダ選手だったのなら、少しは受け入れられたかもしれません。

ベビーフェイスのレスラーならそんなに違和感がなかったかもと思う瞬間もありました。

もともと内藤選手というのはフィクションのファンタジーなプロレスの中に、ノンフィクション的発言を持ち込んだ画期的なレスラーだと思っています。

木谷オーナーやベビーフェイスのレスラーたちのプロレス的矛盾を突くような発言をして、まさに退かぬ、媚びぬ、省みぬスタンスで人気を得たレスラーです。

つまりプロレスのお約束ギリギリの範囲で、プロレスファンの外の声を中に届けるような表現に長けた選手でした。

その内藤選手が思いっきりお約束な演出の中でベビーフェイスを演じているのを見て、すごく違和感を感じました。

内藤選手の役割をタイチ選手に移行しようとしているのかもしれませんが、内藤選手が築いたブランディングを壊しかねない試合になってしまったと思います。

 

 

ファンに伝わる前に新日本が気持ちよくなっちゃっている試合。

冒頭でも言いましたが、ファンタジーに振り切った試合なら、細かな設定は気にならず現実的でなくても楽しめるんです。

しかし、札幌テロ事件をオマージュしているため、中途半端にリアルなテイストの演出の中、細かな設定の甘さや段取りの悪さが目立ってしまい、クオリティの低いお芝居を見ているような気持ちになりました。

また、ストーリーに素人同然の会長を参加させたことで、さらにクオリティは低下し、トレーナーも参加させたことで、事故続きの新日本にとって不謹慎なストーリーにも見えてしまいました。

さらに制御不能な内藤選手がキャラに似合わない役割を演じている違和感もありました。

プロレスをより良く見せるための演出が、適切ではなかったために、マイナスに働いてしまった印象です。

もちろんリング上のプロレス部分は面白いんですが、演出のマイナスイメージでプロレス部分の印象も弱くなってしまいました。

 

棚橋選手が東京ドームのイデオロギー闘争の時に語った言葉。

ファンに伝わる前に闘ってる自分たちが気持ち良くなっちゃってる感じがするので、そういう風に感じますね。

引用:新日本プロレスリング公式

こんな印象の試合だった気がします。

怪我からの復活ストーリー最高でしょ、って内容が伴っていないのに新日本から言われているようで、冷めちゃったんだと思います。

プロレスの演出のバランスの難しさを学んだ試合でしたね。

内藤vsタイチ戦を楽しみにしていただけにちょっと残念でした。

試合自体は面白かっただけにね‥。

しかし、楽しんだファンがいるのも事実ですから、ある意味成功しているとも言えます。

まあ、楽しみ方は人それぞれですからね‥。

 

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